神戸・ユダヤ文化研究会イベント「ウクライナから世界へ―ユダヤ文学の20世紀―」

神戸・ユダヤ文化研究会は1995年に発足以来、神戸を活動の中心に置きながら、政治と宗教には直接的には関わらない立場で、ユダヤ文化をさまざまな視点から探究してきました。


この度は、ウクライナをルーツとして、ドイツ、ソ連、アメリカ合衆国で活躍したユダヤ人作家の作品の朗読/上演と解説を通して、世界中の様々な地域で展開した20世紀ユダヤ文学の一端に触れ、再び混迷の度合いを増している21世紀を生きる我々に今なお投げかけるメッセージについて考察します。



ウクライナから世界へ

――ユダヤ文学の20世紀――


朗読/上演と解説(全4夜)

オンライン配信あり

【主催】科学研究費・基盤研究(B)「ロシア・ウクライナ・ベラルーシの交錯――東スラヴ文化圏の領域横断的研究」(研究代表者:沼野恭子)

【協力】神戸ユダヤ文化研究会


【日時】


〔第一夜〕3月20日(日)18:00~20:00

隠遁者の憂鬱――デル・ニステル「なけなしの財産」(1929)


〔第二夜〕3月27日(日)18:00~20:00

ベルリンのイディッシュ作家――ドヴィド・ベルゲルソン「二匹の獣」「盲目」(1926)


〔第三夜〕3月29日(火)19:00~21:00

絶滅に抗して――ワシーリー・グロスマン「最期の手紙」(『人生と運命』(1959)より)


〔第四夜〕3月30日(水)19:00~21:00

波乱万丈の果てに――マーティン・シャーマン『ROSE ローズ』(2000)


【場所】オンガージュ・サロン

大阪府大阪市天王寺区勝山3丁目9-4

https://www.engage-salon.com/

※各回の模様はオンラインでも配信する予定です。


【参加費】無料


【定員】(各回)15名

※新型ウィルスの感染状況によっては、オンラインでの開催のみとなる場合もございます。

その場合は、ご予約者にその旨ご案内いたします。予めご了承ください。


【ご予約・お問い合わせ】

各回の参加またはオンラインでの配信を希望される方は、下記の項目を記載の上、e.pithecanthropus@gmail.com(赤尾)までメールでお申込みください。


1)ご氏名

2)ご所属(任意)

3)参加ないし試聴を希望される回(複数選択可)


(記載例)

第一夜:参加希望

第三夜:試聴希望

第四夜:参加希望


詳しくはこちらから

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【趣旨】

ポーランド貴族の支配、コサックによる叛乱と虐殺、ロシア帝国の圧政、ポグロム(ユダヤ人虐殺)の頻発、ロシア内戦の激戦地、ソ連体制下での人為的な大飢饉、ナチス・ドイツによる占領と絶滅政策、チェルノブィリ原発事故、そして今起こりつつあるロシアによる侵攻。ウクライナは、ユダヤ人にとって、度重なる歴史的動乱によって悲劇が繰り返されてきた土地として記憶されている。しかしウクライナは同時に、西欧における迫害からの避難所、ユダヤ教敬虔派ハシディズム揺籃の地、ユダヤ人街シュテットルの豊穣な文化的土壌、ヘブライ語とイディッシュ語による近代ユダヤ文学発祥の地にして、20世紀のアメリカ、ソ連、イスラエルをはじめとする世界各地の文化に多大な影響を与えた人々を輩出した「約束の土地」でもあった。


本企画では、ウクライナをルーツとして、ドイツ、ソ連、アメリカ合衆国で活躍したユダヤ人作家の作品の朗読/上演と解説を通して、世界中の様々な地域で展開した20世紀ユダヤ文学の一端に触れ、再び混迷の度合いを増している21世紀を生きる我々に今なお投げかけるメッセージについて共に考えてみたいと思います。


第一夜「隠遁者の憂鬱」と第二夜「ベルリンのイディッシュ作家」では、ロシア革命前夜のキエフで結成された「文化同盟」の中心メンバーにして、ベルリンでの亡命生活を経てソ連邦に「帰還」した後、第二次大戦終結後、スターリン体制末期におけるユダヤ民族文化の弾圧で犠牲となった二人のイディッシュ作家、デル・ニステルとドヴィド・ベルゲルソンの作品を取り上げます。象徴主義の影響を受け、ホフマンやカフカを思わせる幻想的な作風で知られるデル・ニステル。方や、イディッシュ文学の紋切型から脱却して印象主義的な作風で一躍流行作家となったベルゲルソン。同様の人生行程を歩みながらも、極めて対照的な作品を残した二人の作家を軸に、故郷ウクライナへのノスタルジー、ドイツでの亡命生活、そしてソ連邦への悲劇的な「帰還」を通じて彼らの文学に刻印された葛藤の諸相に迫ります。


各回では、朗読劇『ディブック』(アン=スキ作・赤尾光春訳、鈴木径一郎演出)に出演したメンバーを中心とする演劇人たちによるテクストの朗読を、各テクストの翻訳者である赤尾光春(大阪大学ほか非常勤講師、専門は東欧ユダヤ文化論)と田中壮泰さん(立命館大学非常勤講師、専門はポーランド文学)による解説を交えてお届けします。


第三夜「絶滅に抗して」では、ウクライナの「ユダヤの都」ベルディーチェフに生まれたソ連のユダヤ系ロシア作家ワシーリー・グロスマンの長編『人生と運命』の最も有名な章である「最期の手紙」を取り上げます。独ソ戦の勃発とともにナチス・ドイツに占領されたウクライナで虐殺されたユダヤ人女性(グロスマンの母親がモデル)の最期の日々を想像して描かれた、極限状況下における人間精神の苦悩と葛藤を凝縮した珠玉の作品を、東京演劇アンサンブルのベテラン俳優である志賀澤子が朗読します。


第四夜「波乱万丈の果てに」では、『ベント:堕ちた饗宴』等の舞台作品で現代アメリカ演劇を牽引するマーティン・シャーマンの『ROSE ローズ』を上演します。故郷ウクライナを出立し、波乱万丈の人生を経てアメリカで劇的な余生を送る一ユダヤ人女性の述懐を通じ浮かび上がってくる20世紀のユダヤ人の経験と記憶に光を当てます。出演は、両国のシアターXにてライフワークとして『ROSE ローズ』を上演し続けてきた東京演劇アンサンブルの志賀澤子。




『ARTIST INDEX』 に掲載されている各アーティストのプロフィールは、過去のメールマガジンから転載されたものです