で、あんたは死ね
「で、あんたは死ね」著者:Uzi Weil
ヘブライ語:Ve-ata Tihie Met 英語:And you'll be Died
収録書籍:『首相が撃たれた日に』
ヘブライ語:Ba-Yom She-Bo Taru Ba-Rosh Ha-Memshala 英語:The Day They Shot the President Down
初版: 1991年 Am Oved社(Tel Aviv)
ヘブライ語からの翻訳:母袋夏生 Translation (Hebrew) : Natsuu Motai
作品紹介
「で、あんたは死ね」の作品背景:
ヘブライ語“Ve-Ata Tihie Met” 英語:And You”ll be Died
From "Ba-Yom She-Bo Yaru Ba-Rosh Ha-Memshala (The Day They Shot the President Down) by Uzi Weil, Am Oved,1991/Yedioth Aharonoth 2003
ヴァイルが26歳で発表した『首相が撃たれた日に』(Am Oved 1991/Yedioth Aharonoth 2003)の巻頭を飾る短編。
人生でたった一度、その年齢でしか書けないような透明度の高いこの作品集で、ヴァイルは兵役がもたらす寂寥や孤独を描き、世代を代表するものとして人気を得た。所収の中編が映画化されてもいる。
本作の背景はあらためていうまでもなく兵役で、イスラエルでは高校を卒業すると義務兵役として男は3年、女は2年の兵役につく。ある意味では、軍隊賛美ととられると困るのだが、乳離れの時である。親もとを離れて規律と訓練のなかで独立心を身につけ、共同生活で協調性を養う。通過儀礼ともいえる期間である。だが、ヴァイルは、「兵役の3年間は悪夢以外のなにものでもなかった。除隊後の自己喪失感、虚無感はもう味わいたくない」と言う。「18歳でなんでもできるような錯覚におちいる、外界から切り離された空白の3年間。除隊しても、空っぽ。なんのために朝起きるのかもわからない。長い人生で兵役なんてたいしたことじゃないと思うかもしれないが、恐怖と隣り合わせの、<自分のものでない3年間>だった」と言う。短編集の底にはそうしたヴァイル世代の苛立ちが流れている。80年代のレバノンへの軍事侵攻に対して世論が反発しだして以来、イスラエルでは兵役に対する意識が変化してきている。