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菅裕明氏(化学者)、中谷 芙二子氏(アーティスト)がウルフ賞受賞

ウルフ賞(Wolf Prize)は、1975年にイスラエルに設立されたウルフ財団が、その年に優れた業績をあげた科学者、芸術家に贈る賞である。受賞部門は農業、化学、数学、医学、物理学、芸術の6つで、芸術部門は建築・音楽・絵画・彫刻について隔年で選ばれる。受賞賞金10万米ドル。特に科学系の部門はノーベル賞に次ぐ権威ある賞とみなされ、ノーベル賞の前哨戦ともいわれる。






このたびウルフ財団は、東京大学大学院理学研究科 菅裕明 教授ほか2名に2023年ウルフ賞化学部門を、またウルフ賞芸術部門をアーティストの中谷芙二子氏に授与、2023年2月7日にイスラエルのヘルツォーク大統領が受賞結果を発表した。



菅氏は、RNAを用いた触媒を開発し、生理活性ペプチドの発見に革命をもたらした功績で受賞。NAとタンパク質の機能および病理学的機能不全を明らかにする先駆的発見をし、ヒトの病気を改善する新しい方法でこれらの生体高分子の能力を利用する戦略を生み出したことが評価された。そのユニークな発見により、創薬のための新しいツールが生み出された。


また芸術部門では、中谷芙二子氏とリチャード・ロング氏が共同受賞。

中谷氏は、芸術、自然、科学、技術の領域を交錯させる作品を長年にわたり開拓してきた功績が評価された。


長いキャリアにおいて彫刻、フィルムやビデオ、インスタレーション、絵画は、環境、知覚、コミュニケーションといった基本的なテーマに取り組み、天然資源が持つ芸術的な可能性に早くから着目し、新しいテクノロジーをとり入れ、人間と地球との相互作用を探求してきた中谷の姿勢は極めて先見的。霧の彫刻というコンセプトを初めて開発してから半世紀。芸術と自然、詩と科学の接点で作られる作品の魔法で観客を驚かせ続けている。

(©Etsuko Yoshida)


『ARTIST INDEX』 に掲載されている各アーティストのプロフィールは、過去のメールマガジンから転載されたものです

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